抜栓したワインはDouro(ドウロ)の「ESTEVA 2017」、ミディアムボディで軽い口当たりでタンニンは控えめです。
ドウロワインはポルトワインの名産地として知られるドウロ川地域で作られるワインで、そのブドウは川沿いにある段々畑で造られフランスの一級畑に負けない土壌だそうです。
続いてサーブされたのが「鱧と豆のミガシュ」でミガシュは本来パンを刻んだ炒め物でスペインやポルトガルではよく知られた料理、残ったパンを美味しく仕上げるリメイク料理の1つですがこちらでは豆を代用。
豆にもちゃんと仕事がしてあり和食の出汁みたいな風味を感じる味付け、チーズ入りパン粉で揚げた鱧のホクホクな身と豆の弾力がお互いの旨味を引き出しています。
この一見デザートっぽいこのお皿は「鰹のエンパダオン」、マッシュポテトをオーブンで焼き中の具材は本来牛か豚肉らしいんですが・・・
中身はなんと鰹でその理由をシェフが「息子が鰹が苦手なのでお肉に見せかけて作りました」と、実際食べると確かにお肉を感じる摩訶不思議な料理。
そんなエピソードも楽しいエンパダオン、肝心のテイストはチャーシューまんの餡みたいなお味です。
見た目鮮やかなこちらは「トマトとピーマンのバカリャウごはん」。
トマトの酸味にピーマンの爽やかな苦み、それをまとめるのは絶妙な塩梅のバカリャウ(タラ)の塩気、それにコリアンダーがアクセントのスペイン版リゾットです。
お口直しはアルコール度数が高くキレのある甘みが特徴のマデラワイン、舌がサッパリするだけでなく食欲がまた復活します(*^^*)
ご好意で見せて頂いた奥にあるワインセラー、オールポルトガル産のワインを眺めているだけで幸せな気分に。
メインは「北海道放牧豚のファリニェイラソース」。
やはり牛も豚も個体が良ければその脂は甘くキレが良く、燻製香のするソースが豚肉の奥に眠っている野性味を呼び起こします。
美味しい料理の連続でお酒もススム君、初体験のアデガ・ヴェリャ(ぶどう焼酎古酒)は甘みと吟醸香と熟成香が絡み合うエッジの効いたお酒です。
デザートは女性が喜ぶ(おっさんも)二品で、まずは「メロン パンデーロ チーズのカスタード」。
最後はポルトガルの伝統的なお菓子「パステル・デ・ナタ(エッグタルト)」、マカオで食べたそれよりチーズは幅を利かせていなくて卵の優しい風味が後を引きます。
何もかもが未知のポルトガル料理を一瞬で虜にさせたシェフのジョゼさん、ソースに頼らず一つ一つに手間ひま掛けたお料理はどこか懐石料理に通ずるものがありました。
時間をかけて会話と食事を楽しむ幸せな空間、皆さんも是非体験して頂きたいファインダイニングでした(^_-)-☆