JR芦原温泉駅から芦原温泉街を抜けバスで20分ちょい、北前船によって繁栄した歴史や文化がその町並みに色濃く残っている「三国湊」に到着。
まず最初の見学地は越前国三国湊で材木商を営んだ新保屋岸名惣助が代々住んでいた町家「旧岸名家」、ここは妻入りの正面に平入の前半分をつけた「かぐら建て」でこの地区には同じような造りの町家が立ち並びます。
土間や通路には福井市にある足羽山から採石された「笏谷石(しゃくだにいし)」が敷詰められ、この石は滑り止めになる一方濡れたら緑色に変わる不思議な石です。
玄関上には止め木がありますが、これを外すと・・・
玄関上に収められてた戸がロープを引っ張ると下に降りて来て、それを二枚重ねると立派な戸板に変身。
ちなみにこの地区の民家は玄関が狭く奥に深い造りになってますが、これはその当時間口で税金が決まってたので税金を少なくする為の知恵だったそうです。
一見するとごく普通のタンスですが足元には車輪があり、自由自在に動かすことが出来ます。
台所部分だけ天井まで吹き抜けなのは、煙や蒸気を外に逃がす設計。
五右衛門風呂は私が幼い頃親父の生家がこれで、間違って底の蓋が浮くととてつもなく熱くなるので入浴にもテクニックを必要としました。
一方便所はお袋の生家と同じで特に男性用はソックリ、大の方はたまっていたら跳ね返ってくるので用を足すにもテクニックが必要としました(._.)
水回りでは端にある排水溝に水が流れるよう傾斜があります。
これも一見するとししおどしに見えますが、石に水を掛けると・・・
これは水琴窟(すいきんくつ)と言いこちらの筒に耳を傾けるとあら不思議、琴の音色のような音が聞こえてきます。
この仏壇にも仕掛けがあり三国は海抜が低く水害がひどかったので、仏壇がロープで2階に引き上げられるように工夫されています。
昔の嫁入りタンスも残っていて金具のハートマークは、デザインではなく魔除けの意味合いがあったそうです。
天井に出っ張っているのは二階にある掘りごたつの炭入れで、一階に付き出すことで炭の熱が下の階まで行き届き温くなる一石二鳥のアイデアです。
至る所に知恵が散りばめられた旧岸名家、その当時に生活していた人々の息遣いが今でも聞こえそて来そうな見応えある施設でした。